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ABOUT

漆という素材を軸に作品を制作している。

今では漆に代わる塗料が現れ、漆の価値は分かりにくいものになっているが、縄文時代の漆は塗膜の底知れぬ深い艶に血の色を想起させるベンガラを 混ぜて塗布するなど、死生観に直結する塗料であり、土器や櫛、祭祀具など精神生活を支えるも のに施された。

私は*赤呂色漆を好んで使う。赤呂色漆は他の塗料とは違った植物塗料である漆独特な性質を感 じ、塗料というよりも漆の血肉を塗り重ねる感覚に近い。入魂作業であり、その時作品が完成する。

今日、合理的に物事が考えられ、生活の中には様々な便利な道具や建造物が増加しているように 感じる。

私は、合理的に解決できることでも精神世界が関与することで矛盾が生じ、その物事を解決する ために生まれた非合理的な道具や行為、建造物などに惹かれる。

例えば、縄文時代の狩猟生活では獲物は神聖な魂を持つ神であり、獲物の不在は生命の危機。つまり、犯してはならない神を犯さなければ生きていくことができない。その矛盾を解決するため に、鏃には黒曜石が使われ、弓にはベンガラを混ぜた漆が施された。

縄文時代より続くそれらの営為は神社などの造詣からも感じ取ることができ、現代にも有形、無形に関わらず、各地に根付いている。人類には非合理性という思考を作り出す基盤が脳に生得的に備わっていて、それもまた生きて行くための術ではないかと考える。

*赤呂色漆(木地呂色漆)とは顔料を入れる前の赤茶色で飴色をした漆であり、漆樹から採取さ れた生漆を精製する工程の際になやし(漆成分の粒子を均一にする)、くろめ(30%水分蒸発) を行った透漆の総称

1994 奈良生まれ滋賀育ち

2018 京都市立芸術大学美術学部工芸科漆工専攻 卒業

2020 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程漆工専攻 卒業

《展示》

2016 会津まちなかアートプロジェクト 以降2018まで出展(福島)

2018 漆芸の未来を拓く-生新の時2018(輪島漆芸美術館/金沢)

2018 アジア漆工交流プログラムinカンボジア(カンボジア)

2019 ことだま一浮上と継続-二人展 (艸居ギャラリー/京都)

2021 transmit program2021 (京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA/京都)

2021 SPIRAL INDEPENDENT CREATORS FESTIVAL 22 (SPIRAL/東京)

2021 岡本太郎と信楽展新しさの発見 出展(陶芸の森信楽産業会館/滋賀)

2021 3331ART FAIR 2021(3331 Arts Chiyoda/東京)

2021 創工会 新進作家五人展(京都文化博物館/京都)

《受賞歴》

2017 国際瀧富士美術賞「優秀賞」

2018 京都市立芸術大学卒業作品展「市長賞」

2018 池袋アートギャザリング「IAG奨励賞」(東京芸術劇場/東京)

2020 京都市立芸術大学卒業作品展「大学院市長賞」

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